「パパだけで子育てできるの?」「男性の育児って本当に大変なの?」そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。近年、共働き世帯の増加や様々な家庭事情により、父親が主に育児を担当する「ワンオペパパ」が増えています。しかし、その実態はあまり知られていません。
本記事では、妻の入院をきっかけに育児の最前線に立つことになった一人の父親が、誰にも打ち明けられなかった本音や苦悩、そして何よりも子どもと過ごす日々の喜びを赤裸々に綴ります。平日たった5時間の睡眠でも乗り切るための工夫や、男性ならではの視点で編み出した時短育児テクニックもご紹介。
育児に奮闘する父親たち、これから父親になる方、そして「男性の育児」に関心のある全ての方に読んでいただきたい内容です。男性の育児参加が当たり前になりつつある今、一人のワンオペパパの体験から見えてくる「男の育児」の真実が、私たちの社会をどう変えていくのか—その可能性に迫ります。
1. 「ワンオペパパの本音:誰にも言えなかった育児の苦悩と喜び」
子どもと二人きりの夜、ようやく寝かしつけた後のあの安堵感は、ワンオペ育児を経験した父親にしか分からないだろう。妻の長期出張や残業、あるいはシングルファーザーとして子育てに奮闘する男性は年々増加している。「男が育児?」と驚かれる時代は終わり、今や多くの父親が育児の最前線に立っている。
ワンオペ育児の最大の難関は「孤独感」だ。子どもの発熱時、誰にも相談できず夜中にネットで症状を調べ回る不安。公園で他の母親グループから何となく距離を置かれる疎外感。「男親だから」と暗黙の期待を背負いながらも、内心では不安でいっぱいという現実。
「子どもの髪を綺麗に結べるようになるまで、YouTubeで何十回も練習しました」と話すのは、小学生の娘を育てる34歳のエンジニア。「最初は恥ずかしくて美容師さんに教えてもらうこともできず、一人で試行錯誤しました」。このような些細な苦労が日常に散りばめられている。
しかし、苦労の先には言葉にできない喜びがある。「パパ、今日の晩ごはんおいしかった!」「パパが作ったお弁当、クラスのみんなに自慢しちゃった」。そんな一言が、疲れを吹き飛ばし、明日への活力となる。
多くのワンオペパパが直面するのが仕事との両立だ。子どもの急な発熱で仕事を休まなければならない時、理解ある職場環境があるかどうかが鍵となる。テレワークの普及は一部の父親にとって救世主となったが、全ての職種で可能というわけではない。
「最初は自分一人で全てをこなそうとして潰れかけました」と振り返るIT企業勤務の父親。「今は割り切って、できることとできないことを明確にしています。完璧を求めるより、子どもと笑顔で過ごせる時間を大切にするようになりました」
育児に関する情報が母親向けにデザインされている現状も課題だ。母乳育児の代替として何をすべきか、女性特有の成長に関する会話をどう進めるか。こうした情報が父親向けに整理されていれば、多くの不安が解消されるだろう。
ワンオペパパたちが共通して語るのは「子どもとの関係性の深まり」だ。「普通の父親なら経験できない濃密な時間を過ごせたことに感謝しています。娘の細かな表情の変化や成長を見逃さずにいられることは特権です」
育児に奮闘する父親たちへのサポート体制は少しずつ整いつつある。パパ向け育児サークルやオンラインコミュニティの増加は心強い。男性の育児参加が当たり前の社会に向けて、私たちワンオペパパの声が少しでも世の中を変える一助になればと思う。
2. 「平日5時間睡眠でも乗り切る!ワンオペパパが編み出した時短育児テクニック」
子育てと仕事の両立は想像以上に体力勝負だ。特に一人で育児をこなすワンオペパパにとって、時間の確保は死活問題。平日は5時間睡眠が当たり前になった私の日常から、実践して効果のあった時短育児テクニックを紹介したい。
最も効果的だったのは「前日準備の徹底」だ。子どもが寝た後の30分を投資して翌日の準備をすることで、朝の貴重な時間を確保できる。具体的には、朝食のセッティング(食器を並べる、レンジで温めるだけの料理を用意する)、子どもの服を選んでおく、通勤バッグとお弁当箱を出しておく、といった小さな準備の積み重ねが驚くほど朝の時間を節約してくれる。
次に「バスタイムの有効活用」。子どもがお風呂で遊んでいる間に、浴室の外から目を離さず洗濯物を畳んだり、スマホで翌日の段取りを確認したりする。マルチタスクの極意は「見守りながら別の作業」という点にある。
「音声入力の活用」も忘れてはならない。料理中や子どもと遊びながらスマホに話しかけるだけで、買い物リストの作成やメールの返信ができる。Google アシスタントやSiriは忙しいパパの強い味方になる。
「調理の簡略化」は食事作りの時間を大幅に削減する。週末にまとめて作り置きする習慣をつけ、平日は温めるだけで栄養バランスの取れた食事を提供できる。フリージングテクニックを習得し、電子レンジで解凍するだけの献立を増やすことで、子どもとの貴重な時間を確保できる。
「子どもの自立を促す」ことも重要な時短テクニックだ。年齢に応じた「自分でできること」を増やしていく。例えば3歳児なら、服の着脱を自分でする、おもちゃの片付けを習慣化する、簡単な手伝いをしてもらうなど。最初は時間がかかっても、繰り返すことで子どもの成長と親の時間確保という二重のメリットが生まれる。
睡眠時間が限られる中でも効率的に休息を取るために「スキマ睡眠」も取り入れている。子どもが昼寝している15分だけ一緒に寝る、早く帰宅できた日は子どもと一緒に早めに就寝するなど、質の高い短時間睡眠を意識的に取り入れることで体力の回復を図っている。
最後に忘れてはならないのが「完璧を求めない」という心構えだ。掃除は必要最低限、料理は簡素でも栄養があればOK、子どもとの時間を優先する判断力が何より大切。時には宅配サービスや外食も活用し、自分を追い詰めすぎない工夫も必要だ。
これらのテクニックを組み合わせることで、睡眠時間が限られていても子どもとの貴重な時間を確保しながら、仕事との両立を図ることができる。ワンオペ育児は大変だが、工夫次第で乗り切れる道は必ず見つかるはずだ。
3. 「妻の入院をきっかけに始まった育児。ワンオペパパが語る”男の育児”が社会を変える」
突然の妻の入院。そのとき、僕の人生は一変した。「大丈夫?一人で子育てできる?」周囲からの心配の声を背に、ワンオペ育児の日々が始まった。
朝5時に起床し、朝食準備、子どもの登園準備、仕事、夕食作り、入浴、寝かしつけ。この一連の流れをこなしながら、病院に妻の見舞いに行く日々。正直、最初の1週間は地獄だった。
「ママじゃないと嫌だ」と泣き叫ぶ子どもを前に、無力感に襲われた日もある。しかし、日を重ねるごとに、子どもとの距離は縮まっていった。「パパ、一緒にお風呂入ろう」「パパの作るカレー、ママより美味しい」そんな言葉が、疲れた心を癒してくれた。
育児休暇を取得していなかった僕は、会社に状況を説明し、在宅勤務と時短勤務を組み合わせる働き方にシフト。驚いたことに、上司や同僚は「家族が最優先だ」と背中を押してくれた。
この経験から気づいたのは、「男の育児」という概念自体が社会を変える力を持っているということ。育児は「女性の仕事」という古い価値観が、いまだに日本社会には根強く残っている。しかし、実際に男性が育児の主担当になることで、職場や地域社会の意識も少しずつ変わっていく。
保育園の送迎で出会う他のパパたちとの会話も増えた。「俺も最初は何もわからなかった」「子どもと二人きりの時間が、今では宝物だよ」。男同士だからこそ共有できる悩みや喜びがあることを知った。
妻が退院した今も、育児・家事は二人三脚で行っている。妻の入院という危機が、家族の在り方を根本から見直すきっかけになった。
男性の育児参加は、単に「手伝う」というレベルを超えて、積極的に担い手となることで初めて意味を持つ。そして、それは子どもにとっても、パパ自身にとっても、社会にとっても、大きな価値をもたらす。ワンオペ育児という試練が、新しい家族の形、新しい社会の形を創り出していくのだと信じている。